序章

3/3
前へ
/100ページ
次へ
(不満は分からなくもないよ…でも私だってこうなりたくてなってる訳じゃないのに…) 幸せな妊婦さんってどんな気持ちなんだろう? 検診に付き添ってくれる旦那さん 優しく労りの言葉を掛けてくれる旦那さん 家事を手伝ってくれる旦那さん… 望んだらキリがないかもしれない。 だけど… 私はそんな風にして欲しかったんだと思う。 ただ少しだけ、本当に少しだけでもいいから私の事を優先して欲しかったんだ。 「なぁ、今日はいいだろう?」 布団の中で真が私の胸をまさぐりながら囁いた。 「無理だよ…私、体調が…」 私の言葉を他所に真は体にゆっくりと舌を這わせながら愛撫した。 こうなればもう、止められない。 「あ…やめて。ダメだってば…やだよ…」 気持ちが悪い。 悪阻の気持ち悪さと相まってただその行為が早く終わる事だけを願っていた。 身勝手な繋がりは苦痛でしかないんだよ… 吐き気を堪えながら必死に耐えるしかなかった。 お腹に響く感覚は快楽とは程遠い虚しさと悲しさだけを私の中に突き上げていく。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加