見えないココロ

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見えないココロ

2人の間に大きな亀裂が出来てしまったまま時間だけが過ぎてく。 蓮は5年生になり、みるみるうちに体が成長していった。 真がそれなりにガッシリとした体付きで高身長だった事もあってか成長期を迎えた蓮の身長は私とほぼ変わらず、体重は私より重たくなっている。 口論で済むならば良かったが、そうではなくなってしまった場合にはもう力では敵わない。 「齋藤さんの息子さんって大きいわよねー!小学生に見えないくらいに 。お父さんに似たのかしら?」 飲食店での勤務では体力的にキツくなってしまい、今は転職してコンビニの店員をしている。少し前から一緒に勤務する様になった50代半ばの山田さんはデリカシーが無く噂好きだと社員さんから聞いていた。 私がシングルである事を分かっていながらこういった質問をするのだからその通りなんだろうと思う。 「何処かで会いましたっけ…?そうみたいですねーとよく似てるんですよね…」 「あらやだ!私ったら嫌味みたいな事言っちゃったみたいでごめんなさーい。大きいのはいい事じゃない。うちの息子なんてチビだから羨ましいわぁ!きっとまだ大きくなるわね」 私は何も答えずにただ笑った。 その笑顔に思いきり皮肉を込めて。 他人の家庭の事情を知りたがったり面白半分に考えている人間はかなりの割合で存在する。 自分が満たされていないから? 比較して優越感に浸りたいから? 理由なんていくらでもあるのだろあう。 そういう人間は「自分さえ良ければそれでいい」のだから…。
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