衝動

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衝動

「…え?蓮がですか…!?」 連日の勤務に疲れきっていたその日、小学校から蓮が学校の窓ガラスを割ったという連絡が入った。 友達と喧嘩した際に注意した担任に苛立ち昇降口の窓ガラスを蹴飛ばした。そしてヒビが入ってガラスが割れた…と。 『幸い蓮君にケガはありませんでしたが、周りにいた生徒達も怖がってしまいまして…本人は、今は落ち着いているみたいです』 「すみませんでした…!本当に申し訳ありません…蓮はきちんと謝ったんでしょうか…?」 『ああ…そこは大丈夫です。謝罪の言葉もありました』 担任とは相性が悪く、登校も再びまばらになってしまっていた。 そんな中で起きた大きなトラブル… 恐らく状況は最悪だった。 「そうでしたか…本当にすみません…大変ご迷惑をお掛けしました…」 『いえ…とりあえず迎えに来て頂けますか…?お母さんとも少しお話したいですし』 「はい…すぐに向かいます!」 (何考えてるのよ…!蓮は…!) 学校へと向かう足取りはまるで泥の中を歩いている様な感覚がした。 上手く足が動かず、前へ前へと進む度に足下がおぼつかず、重く、不安定になる。 嫌味のように高鳴る心臓の鼓動を感じる毎に苛立ちが増していく。 頭に血が上っていくのがよく分かる程に顔が火照り、嫌な熱さだけを残していく。
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