人として

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人として

「本気で我が子を殺してしまいたいって思った事がありますか?私は…今がそうなんです」 涙はもう枯れてしまった。 嫌という程に泣いたから。 泣くのは自分が可愛いから?可哀想だから?そうかもしれない。 だけど自分が可哀想だとでも思わなければ自分を保ってはいられなかったんだ。 誰も私を哀れんでくれたりはしなかったから…。 「…そうですか。幸いお子さんにケガはないようですし、こちらとしては厳重注意で済ませる方向で話を進めておりますので」 担当の警察官は淡々と話を進める。 この人達にとっては事件性があるもの以外はどうだっていいんだ。 「児相さんにはこちらから連絡していますんで。このまま預かって貰う方向でいいんですね?」 「はい」 「…そうですか。お子さんの方も今は落ち着いていますけど、顔を合わせればまた何があるか分かりませんから、このまま連れて行きますね。お母さんはここでお待ち下さい」 「…はい」 誰に何と言われようが思われようが構わない。 この終わりの見えない戦いの日々から解放されるのならば。 私は確かに母親だけど…一人の人間だ。
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