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「お嬢様……そのTシャツは?」
「え、これ?先輩からもらったヤツ」
そう言って笑ったお嬢様の服装は。ジーンズは良いとして、その上には、黒地に白抜きの「Fuck you!」の文字が、はっきりと浮かび上がるTシャツでございました。
一体どういった方向性の先輩なのでしょうか。
「……」
執事とは、様々なトラブル発生時に冷静な判断を求められる職種でございます。
「お嬢様。春とは言え、午後はだんだんと肌寒くなってまいります。こちらのカーディガンもお召しになられては、いかがでしょうか?」
私はさりげなくクローゼットから、ふわっとしたシフォンのカーディガンを取り出すと、素早くFuck Tシャツの上に羽織らせました。
「まあ、それもそうね」
幸いにも、すんなりと聞き入れたお嬢様に、ほっと安心いたしました。
可愛らしいシフォンのカーディガンのおかげで、Fuckの文字が良い感じに隠され、「何か白のロゴ、入ってるな」程度に留めることが出来ました。
「それでは、息抜きに、公園にでも参りましょうか」
もちろん、私はファンキーなTシャツに着替えることもなく、仕事着であるスーツ姿のまま、お嬢様と部屋を後にしました。
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