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「何か、あの二人いい感じじゃない?」
高く弾んだ声に視線を向けると、同じく公園内を散歩中の、制服を着た、お嬢様と同年代であろう女性グループが、私達をちら見しています。
「あの女の子めちゃ可愛くない?そんで、隣がすごいイケメンなんだけど!」
「映える~。何か、お嬢様と執事みたいな」
「まさか!漫画じゃん、それ」
その、まさかです。
私達を何度もちら見しつつ、絶え間なく、おしゃべりを続けながら、高校生グループは去っていきました。
「ねぇねぇ、今の聞いた?私、めちゃ可愛いって!」
お嬢様は満面の笑みで言ってきましたが、私がすごいイケメンと言われていたことは黙殺です。
「ソウデスネ」
「何で、棒読み……。でもさ、何にも聞いてないのに、私と柿崎が、お嬢様と下僕だって、何となく分かっちゃう感じね」
「下僕ではなく、執事です」
「ごめん、ごめん、言い間違い」
悪意のこもった、言い間違いです。
「でもさ……もっと違う風に見えたりとかは、しないのかなぁ……?」
「違う風、とは?」
「……だからぁ」
竹を叩き割るようなことしかなさらないお嬢様が、珍しく歯切れが悪いご様子。
「その、あれだよ、あれ……例えば。例えばだよ?」
「はい」
もごもごした後、小さく掠れるような声で、お嬢様は言いました。
「だからさ……恋人、とか?」
うつ向きがちなので、ちゃんと顔は見えませんが、心なしか、頬が赤らんでいるように見えます。
「つまり、男女の……ということですか」
「ちょ……言い方っ。生々しいよ」
さらに赤みが増したようでした。
思ってもみない発想でした。私達を見て、男女の仲だと思わないのか、と。
「……」
お嬢様は黙ってしまいました。
しかし、この手の沈黙は、何かしらの反応を求める際の沈黙と受け取れます。一体、私にどのような回答を求めているのでしょうか?
冷静に第三者的な目線で考えますと。スーツ姿の20代半ばの男と、明らかなJK……。その二人の関係性とは……。
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