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 カラオケボックスで一時間以上歌い続け、脱力して、思い出した。  人生で一番忘れることのない会話。 「何やってんだよ、中本。どう見ても怪しいおっさんだろ!」 「ご、ごめんなさい。でも、だって」 「お前、一生。俺に感謝な」 「ありがとう。ほんとにっ。ありがとう」  泣きながら、私が出した言葉。  あの後、家まで送ってもらって、一日を終えた。翌日、歌が巧いのかと訊かれて、断り切れずに、放課後、屋上で歌を歌った。めちゃくちゃ褒められていい気分だった。  薄暗い部屋の天井を見つめて、一言零す。 「今どこにいますか?」
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