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07.大切な人
ネオパンゲア大陸の片隅。
アジア地区日本国東京県グエン・バン・東小村平シティの本町一丁目。東京県立新昭和聖J・ドウティー病院。
それが、彼女が現在いるポイントの名称だ。
僕は今日も、病院の医師に指導をうけつつ、彼女の意識にリンクする。
こんなことを始めて、かれこれ何年たつだろうか。
もう諦めたら? とか言い放つような人でなしは、幸いなことに僕の周りにはいなかった。
彼女のお母さんは、僕の存在も、この治療のことも、共に知っている。……ちなみに彼女のお父さんは、早世して、この世にはいない。
僕は彼女のお母さんに、『この子のことを、お願いします』と、頭を下げられた。
僕は言った。
絶対に、諦めませんよと。
僕にとっても、彼女のお母さんにとっても、大切な人なのだから。
夢の中で接触を果たしても、ただ説明するだけでは、受け入れてはくれなかった。
何を言っているのかわからないよと、彼女は戸惑うだけだから。
今まで散々、色々な手法を試してきたけれど、ダメだった。
けれど今日は、違うはず。確信があった。
僕はヘッドセットを身に付けて、集中する。
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