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-プロローグ-
痛い 暗い 寒い
暗闇の中温度がだんだんと冷えていくのがわかった
それは死というものなんだろう
怖くはなかった
奪われて壊されて無くしてしまって
残されたものは傷だけだった
最後くらいあの場所を思い出そう
冷えた空気が肺に染みる朝
夜が裂かれ 光が世界に差し込む時間
大地は青く染まり 俺は地平線だけを見つめ
全力で走った
気持ちよくてキラキラした夢が
次第にまた 闇に覆われていった
最後に小さな光と
微かな音がして
寂しいけど優しい音に
俺は呼ばれた気がした……
少しだけ 懐かしいにおいと
温かさを感じた
それを俺は意識が微睡む中で
逃さないように
離れて行かないように 抱きしめた
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