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「なぁ、聞いてくれよー」
なんて、あまりもわざとらしく溜め息をつく友人に視線を向ける。
「うちのバンド解散しそうなんですけどぉー」
「知ってるよ」
真新しい参考書をパラパラと捲りながら適当に返事をする。
「ホント、マジ困るんですけどぉー」
週の終わりの4限目前だと言うのに、何でそんなにギャル男みたいな喋りを元気にできるんだろうな、なんて心の中で思うのだ。
「てかさ、おまえ、誰か
メンバーになってくれそうな知り合いいない?」
いない訳ではない、心当たりはある。ただ、当の本人が興味があるかどうか、なのだ。
「ん〜……。新メンバー来なかったら考えとく」
チャイムの響く窓の外では、この前咲いたばかりの桜が葉桜に変わろうとしていた。
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