退屈から最悪へ

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退屈から最悪へ

湿った土の臭いがする。 気が付くと四條 茉莉(しじょう まつり)は地面にうつ伏せに倒れていた。 ここがどこで何故、全身に鈍い痛みを感じるのか思い出すのに時間がかかっていた。 背後から自転車にでもぶつかられたのだろうか? と考えていると背後からやけに高い男の笑い声が聞こえる。 その笑い声で思い出したのだ。 自分はこいつに襲われたのだと。中々眠れないからと、近くの公園をぶらついている時に、異形の姿をした、こいつにいきなり襲われ気を失っていたのだと。 王冠の様につる草を頭に乗せ体に苔を生やした赤黒い獅子舞に似た大きな顔の化物はぎょろぎょろ目を動かし笑っている。 こんな事になるなら大人しくベッドに潜っていれば良かったと後悔したが遅すぎた。 化物は口を大きく開いて、突進する様にこちらに近付いて来る。 声を上げようにも恐怖のあまり、声にならない音が口から漏れるだけであった。 来るな! 来るな!! 来るな!!! まだ死にたくない。 痛みで起き上がれず這って逃げようとしたが化物の生暖かい吐息が背中にかかるのを感じ、思わず止まってしまう。
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