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何も見えない暗闇に向かって数回殴りつけると耳をつんざく様な獣の声が辺りに響き渡る。
「大当たりってね。これ以上痛い目に会いたく無いなら、その子を離して消えてくれないかな。じゃないと、命のやり取りをする事になる」
低い声で京香は声の主に話しかける。笑みを浮かべているのは余裕のアピールだろう。
簡単にお前を仕留められるという強者の余裕を見せつけているのだろう。
だが、相手はそれが気に入らなかったのか奇声を上げ、京香に襲いかかる。
漸く見えた相手の姿は二メートルを超える巨大な猿であった。
右目は潰れ、額に銃創の様な傷の有る顔を怒りで歪ませながらこちらに向かって来る。
「……、十四。君が髪をむしった女性の数だ。君は何がしたかった? 髪を集めたかったのか、それとも拐おうとして失敗したのか?」
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