退屈から最悪へ

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「え? さっき一人歩きは駄目だって……」 「昼間なら良いの。それに可愛らしい女の人だったから大丈夫よ。早く着替えて行って来なさい。」 部屋から母が出て行くとどういう理屈だと言わんばかりに茉莉はため息を吐いた。 昨日は化物に襲われ、今日はその所為で説教されるのかと自分の不幸さを嘆くのだった。 簡単に着替え、身支度を済ませると茉莉は住所の書かれたメモを再び眺めた。 「昨日の女の人なのかな」 そうだとしたら自分の口から、ちゃんとお礼を言いたい。こうして生きてられるのは彼女のお陰なのだから。 それから、道中の菓子屋で菓子折りを買い住所の場所に向かう。 そこは自宅から地下鉄二駅分離れた場所にある一軒家であった。 外壁が所々崩れ、ひび割れた窓ガラスはガムテープで塞がれている。 「ここに住んでるのかな?」 チャイムが無いのでドアをノックして声をかけると「は〜い」と気だるげな声と共に小さくドアが開いた。 ドアの隙間から見えた顔はやはり、昨日助けてくれた女性であった。 「えと、昨日は助けてくれてありがとうございます」 「ああ、君だったんだ。立ち話もなんだから中に入って。今後に付いて話そう」
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