退屈から最悪へ

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警戒を解いたのか彼女は笑みを浮かべ、ドアを先程よりも開き茉莉を中へと招く。 「あの、お礼を言いに来ただけなんですけど……」 「ああ、良いの良いの。ビジネスでやった事だから。だから、早くこっちへ」 話が読めぬまま通されたのは対面する様にソファの置かれた部屋であった。 ソファに座り彼女と向かい合う。 「自己紹介が、まだだったね。私は速水 京香(はやみ きょうか)。昨日言った通り霊能探偵やってるんだ。怪異に関する依頼を一件、十万から受けてる。ただ働きは死んでもやらないてな訳でこれね」 請求書と書かれた紙を茉莉の前に差し出す。 その金額を見て茉莉は言葉を失った。 「ほ、本当に払わなくちゃ駄目なんですか?」 請求書の百万円の文字を震える手で指差しながら尋ねると京香は妖しくも笑いながら答える。 「ここで働いてくれるなら払わなくても良いよ。君が高校卒業するまでの間で良い。どうかな? やってくれる?」
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