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「師弟愛とかそう言うの期待してたんですか? 令和の時代じゃ流行りませんよ。そんな古臭いもんは。世の中金ですよ」
指で輪を作り京香が笑うと金髪の男は崩れ落ちる様に膝を付く。
「薄情だな〜おまえは!! 少年漫画みたいな熱い展開を期待した俺が馬鹿みたいじゃねえか」
金髪男は大きな身振りで嘆いて見せるが、京香はドアを半開きのまま白けたような顔をして面倒くさそうに答える。
「……感謝はしてますよ。だからこうやって話は聞いてるじゃないですか。それに金がなきゃこの仕事やってけないでしょ」
「そりゃあそうだけどよ……。たく、分かったよ。六割やるから来い。それだけやべぇ案件だからな」
観念したように男が言うと彼女は目を輝かせドアを開けるとその手を握る。
「契約成立! 明日までに私の口座に振り込んで下さいね。私に任せれば間違いないんで安心して下さい」
「はあ、何で善人の俺よりこいつに素質が有るんだよ。世の中理不尽過ぎるぜ……」
男のぼやきを聞いてるのか聞いていないのか、京香は鼻歌を歌いながら建物の中に戻って行く。
ため息を吐いて男は、何処かへ行ってしまうのだった。
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