21 ブルーバーグ侯爵夫人side②

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「どっちにしてもお嫁に行けば会えなくなるではありませんか」 「それは……だが、貴族同士だったら、もっと気軽に会えるだろう? 仕事だってあるのだからな」  そうね。相手が貴族であれば少なくとも仕事の接点はあるわね。嫁ぎ先だって夫人として家政を取り仕切るよりも研究や仕事で活躍することに重きを置くでしょうから、ブルーバーグ家との付き合いは必要不可欠ですものね。 「要するにフローラがお嫁に行くのが寂しいんですのね」 「……」  黙ってしまったわ。そんなに恨めしくジト目で見ないでくださいね。瞳が潤んでいるように見えるのだけれど。  まったく、世話の焼けること。 「でも、あなた。フローラが王子妃になるとは限りませんわよ。国王両陛下がおっしゃいましたでしょう? フローラの気持ち次第だと。娘の気持ちを大事にすると。フローラが了承しない限り結婚はありませんわ。王命も使わないということでしたから強制されることもありませんからね」 「フローラ次第。そうか、だったな」  ちょっとは元気になったかしら? 表情が明るくなってきたわ。  嫁に出す父親というものはみんなこんな感じなのかしら?   わたくしの時は両親も喜んで送り出してくれたように感じていたけれど、父も寂しい思いをしたのかしらね。今度母に聞いてみましょう。そしてよい対処法があるか相談してみるわ。   「そうですよ。いくら王子殿下とはいえ、フローラが気に入るとは限りませんしね。今日も招待されていますが、明日帰ってきたらどんな感じだったか様子を聞いてみますわね」 「ああ、頼む」
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