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1 婚約破棄されました
なんの前触れもなくその声は突然、響き渡りました。
「フローラ・ブルーバーグ。よく聞け。俺はこの学園で真実の愛を知った。今日この日、この時をもってお前とは婚約を破棄する。そしてリリア・チェント男爵令嬢と新たに婚約を結ぶのものとする。わかったか」
なぜか得意げにビシッと私に指を突き付けて宣言するエドガー様。
よいのかしら?
私はフローラ・ブルーバーグ侯爵令嬢。王立学園の三年生。
そして、リリア様を腰に抱き恥も外聞もなくまくし立てている殿方は、困ったことに私の婚約者エドガー・テンネル侯爵子息。同じく三年生。一応、嫡男なんですけれど。
大丈夫なのかしら?
それにここは学園のホール。今日は年に一度行われるダンスパーティー。
きらびやかに着飾った生徒たちが集まっております。さっきまでオーケストラの音楽に合わせてダンスを踊っていた方々も動きを止めて、何事かと様子を窺っていらっしゃいます。
いつの間にか音楽も止んでしまいました。ホールに集まった人たちの目がエドガー様とリリア様、そして私へと注がれています。
壇上で勝ち誇ったように胸を張るエドガー様と巻き付くようにへばりついているリリア様。
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