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「フローラの答え次第で今後どうするか決めましょう。気持ちがないのに、ズルズルとつき合っても王家や王子殿下にも失礼に当たりますしね」
「そうだな。そうしてくれるか」
あらま、すっかり元気を取り戻したみたい。
「はい。わかりました」
わたくしは、にっこりと頷いた。余計なことは言わなくていいわね。フローラの気持ちが一番だもの。
一縷の望みというのかしらね、ローレンツは安心した顔をしている。
二杯目の紅茶の香りが食欲をそそって二個目のケーキがとっても美味しいわ。
王太子殿下にはお子様もいらっしゃるし、第二王子殿下にもお相手が決まり、あとは第三王子殿下だけ。
王妃陛下の美貌を受け継ぐ美麗な方だと言われている。
レイニー王子殿下の成人の儀の祝賀会以来、美貌も過ぎると災いになると噂されていた。そのせいかわからないけれど、王家主催の舞踏会などでも公の場に出ることはなく、わたくしたちも面識がない。
その時の記憶でもきれいな方だったから、成長されたレイニー殿下はどんな感じなのかしらね。
お会いできるのが楽しみだわ。
ローレンツも落ち着いたのか紅茶を楽しんでいる。
今度は彼でも食べられるお菓子を用意しようかしら。塩味系の方が喜んでくれるかもしれないわね。
「シャロン。相談があるんだが」
カップをソーサーに戻したローレンツが真顔になった。
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