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「ほかに欲しいものがあればメイドに頼むか、取りに行ったらいいわ」
ディアナは満足した様子で、ロイヤルミルクティーを飲んでいます。これもディアナの好物。
料理も飲み物も指定したものはなかったはずなのに、彼女の好みを把握してるなんて……それとも、偶然なのかしら?
「こちらのメイドって気が利くのね。私の分まで用意してくれるなんて」
普通は言われたことのみ行動するのが当たり前なのに。余計なことをするとトラブルに発展することもあるので、使用人は独自の判断はしない。これは鉄則です。例外はありますが。
「そうね。それこそお客の接待には臨機応変さが求められるから、よく訓練されているんじゃないのかしら? なんたって、筆頭公爵家ですもの」
ディアナはお皿にいくつか料理をのせるとニコニコとした表情で食べ始めました。
「朝が早かったから、お腹がすいていたのよ」
「そういわれてみれば、私も」
お茶会に出席するということで、いつもより早めに朝食をとって準備をしたのだったわ。先ほどまで緊張していたから感じなかったけれど、意識したら急にお腹がすいてきました。
吟味された食材に様々な工夫を凝らされた調理方法が目を引き、食欲をそそります。勉強になるわ。
目で堪能した後は私も料理を取り分けて口に運びました。
しばらく、料理に舌鼓を打ちながら談笑していると、見知った令嬢が私たちの所へ近づいてきます。
「ビビアン様」
ディアナが名前を呼ぶとビビアン様はにっこりと私に微笑みかけました。
「こんにちわ。わたくしもご一緒してもよろしいかしら?」
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