30 公爵家のお茶会にて

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「フローラ様に、聞きたいことがありましたの」  私にですか?  「ビビアン様。何かお飲み物でも持っていらっしゃったら?」  椅子に座りかけたビビアン様にディアナが声をかけます。  私たちのテーブルの料理や飲み物を見て納得したようにカウンターへと向かっていきました。    「ビビアン様の分も頼んであげたらよかったのに」  メイドに頼めばすぐに届けてくれるでしょう。わざわざ彼女の手を煩わせることもないのではないかしら。 「ここはセルフサービスなのだから、自分で足を運ぶことが基本でしょう。いいのよ。色々とわがままを言われても困るから。それに見てみて。楽しそうにしてるじゃない?」  奥のカウンターへと目を向けると、料理や飲み物をあっちこっちと眺めて品定めに夢中のよう。ちょっとかわいらしいと思ってしまったわ。 「ところで、ディアナはビビアン様とは知り合いなの?」 「ええ。幼馴染ではないけれど、昔馴染みって所かしら。それぞれの公爵家とは元々家同士の交流があるから、小さい頃は年に何回かは会って一緒に遊んでいたわね。でも、その程度よ」 「……そうなのね」  思っていたよりもドライな返しに言葉が詰まってしまったわ。
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