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「フローラったら、目を見開いてまじまじとジュースを見ているんだもの。ちょっと、おかしかったわ」
ディアナはその時の場面を思い出したのか、口に手を当ててくすくすと笑いだしました。
「もう、そんなに笑わなくていいじゃないの」
そんなにおかしかったのかしら?
ディアナの笑いはなかなかおさまりません。人前なので笑い声が控え目なのが妙に恥ずかしさを助長するようで、顔が火照っていきます。
穴があったら入りたいわ。ううん。自分で穴を掘って自ら埋めたい気分よ。そのくらい、恥ずかしい。
「気持ちはわかるわ。わたしも一瞬見入ってしまったもの。ブラックオレンジなんて珍しいものね。ローシャス公爵家の特産物だから、栽培元の特権ね」
ああ、そうでした。
驚きのあまり失念してましたけど、ブラックオレンジはローシャス公爵家のブランドの一つでした。そうとわかれば少し落ち着いてきました。
それでも、貴重品には変わりないのですけれど。
飲み物のカウンターまで行くと、私たちは目的のブラックオレンジジュースを頼みました。オーダーなっているようで注文を受け付けてから作ってくれるようです。よく見るとメニュー表が置いてありました。
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