30 公爵家のお茶会にて

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「友人と約束があるので、ここで失礼するわね。今日は楽しかったわ。また、ご一緒しましょう」  鮮やかな笑顔を残して、ビビアン様は去っていきました。  友人と約束って、時間は大丈夫だったのかしら?   それとも、時間が余っていたから、暇つぶしに私たちに声をかけたのかしら?  「友人と約束って、どのくらい待たせたのかしらね」  ジュースをストローでかき混ぜながらディアナが呟きました。  えっ? まさかのそっちですか。  驚いて目を瞬かせていると口の端をあげてニヤリと笑います。笑顔が黒いですけれど。   「いつものことよ。相手はよほど心が広くないとつき合いづらいわよね。慣れてしまえばどうってことないんでしょうけれど。それと、呼び捨ての件ね。あれ、毎回会うたびに同じことをやっているのよ。なんていうか、プライドを保つ上で必要な会話なの。あのやり取りでご機嫌になるんだから、安いものよね」  あっけらかんと一刀両断にしちゃうディアナは最強だわ。  第二の王家と言われるマクレーン伯爵家の令嬢から、尊ばれる存在。それだけでも優位性をあげる一助となっているのでしょう。  ビビアン様の望みどおりに乗っかるディアナは感心を通り越して怖いです。 「そういえば、ビビアン様が私に聞きたいことがあると言われてましたけど、どんな内容だったのでしょう?」
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