30 公爵家のお茶会にて

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 ふと、思い出してしまいました。  いくつか話題はありましたけどたわいない話ばかりで、特に問われることもなくお帰りになりましたから、結局分からず仕舞い。 「あら。言われてみれば、彼女そんなこと言ってたわね。本人が忘れているくらいだから、大したことではなかったのではないの? 気にすることはないわよ」 「そうよね。大事な話なら真っ先に話しているわよね」  嵐が去ったような変な疲労感を覚えていると目の前にはお水が運ばれてきました。  先ほどのメイドです。  頼んだわけでもないのに……びっくりして透明なお水を眺めていると 「さて、口直しをしたら、外に出てみましょうか。お茶会に招待されているんですもの。いろんな方と交流を持たないともったいないわよ」  グラスの半分くらいのお水をグッと飲んだディアナが話しかけます。  口直し。  ジュースの濃厚な味が口の中に残っていますし、気持ちを切り替えるためにも効果がありそうです。飲み干すと無味無臭のお水が気分をさっぱりさせてくれました。 「フローラに紹介したい人が何人かいるのよ。つきあってくれるとうれしいわ」 「ええ。喜んで」  お茶会は人脈作りと情報収集の場ですものね。  じっとしていては目的は果たせませんから。  さっそく、庭園へと足を運ぶと、ディアナからいろんな方を紹介されて有意義な時間を過ごすことが出来ました。
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