31 王族の責任

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 即時即決。  側近たちに指示を出すレイ様。  それを受けた側近たちは翌日のスケジュールの調整に余念がありませんでしたし、エルザたちもお召し物の準備をとあれやこれやと話し合いながら、あっという間に別室に移動していましたし。  一貴族の娘の願いなど取るに足らないもの、捨て置いてかまいませんのに。  忙しない側近たちの姿に、想像していたよりも大事になったような気がして、後先考えずに迂闊に口を滑らせてしまったことが悔やまれました。  レイ様を含め皆さんが和気あいあいと楽しそうに計画を立てている様子に水を差すのも憚れて、やっぱり遠慮しますなどと言えるような雰囲気ではなかったのです。  何度も繰り返す愚行に、学習能力のなさに我ながら情けなく、軽い自己嫌悪に陥ってしまいました。 「出来るだけ、暖かくしてた方がいいと思うよ。夜明け前は冷え込むからね」  昨日のことを思い出しているとレイ様の優しい声がして、ふわっと肩に何かが触れました。目にしたそれは、柔らかそうなショールでした。しかも大判でレイ様も同じものというか……一枚物で私たちを包んでいる格好です。  どこから出てきたのでしょう? レイ様、持っていませんでしたよね? 
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