31 王族の責任

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「国民?」 「はい」  何かが引っかかったのかレイ様が眉を顰めます。  おかしなことは、言っていませんよね?  国の象徴ともいうべき王族なのですから、大切に思うことは臣下として変ではないですよね? 当たり前のことですよね?  固まったまま考え込んでいたレイ様は、私に視線を向けるとパッと顔を輝かせました。何かを吹っ切ったような清々しい表情です。私が言わんとすることをわかって下さったのでしょう。    「そっか。ローラは国民の一人として、俺のことを大事に思ってくれているってことだね」  国民の一人として……改めて問われると、どこかが違うような気が……しなくもないような。だからと言って何が違うと言われても、説明できないんですけれど。でも、間違ってもいないような気もするし。  頭の中で自問自答し、導き出した答えは――   「はい。レイ様はとても大事な方です」  そこは自信を持って言い切りました。  レイ様を大事に思っていることは本当の気持ちです。  嘘ではありません。
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