31 王族の責任

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 あ、あの……レイ様?  どうしたのでしょう。  再び固まったまま微動だにしないレイ様は、まるで精巧に作られた美しい石像のよう。見惚れている場合ではないのですけれど。  やがて、気を取り戻したレイ様の頬がほんのりと染まっていきます。私を見る意味ありげな視線。    これは大丈夫ですよね。間違っていませんよね。  穴が開くほど見つめられると、ちょっと、不安になってきました。 「一緒だね。俺にとっても、ローラは大事な人だよ」  ほんのりと色香を纏った瞳にドキッと心臓が跳ねました。  レイ様は私の言葉に返しただけ。  それなのに、一瞬、ほんの一瞬だけ……違う意味に聞こえてしまったのは何故なのでしょう。  私の肩からずり落ちたショールを手にして、再び私の身体を包んでくれます。 「お互いに大事にしないとね」  慈しむような声音で囁きかけたレイ様は私の肩を抱き寄せました。  レイ様の体温が肩越しに伝わります。  温かい。   「レイ様もちゃんと羽織って下さいね」 「うん。気遣ってくれてありがとう」  レイ様の穏やかな眼差しが眩しくて、幸せな気持ちが心の中を満たしていきます。  知らずに胸の奥にこみ上げてくるものが、鼻の奥がツンとして涙ぐみそうになりました。でも、グッとこらえます。    愛おしい。  そんな思いが心の中をよぎりました。この芽生えた感情は何なのか……  ほんの少し、ほんの少しだけ……ほんの少しの間だけ……  私はレイ様の肩に、寄り添うように頭を預けました。
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