31 王族の責任

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「十分に温かいのでお気を使われなくてもよろしいですよ。それにこの体勢だと花が見にくくなってしまいます。レイ様の花のかんばせはよく見えますけれど」  ちょっと、冗談交じりに言ってみるとレイ様はビックリしたように目を見開いたあと、すぐに相好を崩しました。   「ハハハッ! 確かにそうだね。俺のところからもローラの顔がよく見える。どちらがきれいな花か迷うほどだよ」  声を出して笑うレイ様につられて私も笑みが零れます。  よかった。冗談が通じたみたい。レイ様の花のかんばせは事実ですけれど。 「俺はいつまでもローラを見ていたいけど、今朝の目的は花の観賞だからね。大人しくそれに専念することにしよう」  茶目っ気たっぷりで片目を瞑って笑いかけて、私を膝の上から下ろしてくれました。  きれいな花って……ちょっと、いえ、かなり、よいしょ気味な感じもしますが、冗談なのですから真に受けることもないでしょう。  隣に座った私にショールを着せかけてくださいました。
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