31 王族の責任

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「ところで、エイブ。護衛も振り切られたのか?」  今度はエイブがビクンと震えました。  腕組みして不穏な笑みを浮かべたレイ様。今から何が始まるのでしょう。 「いえ、その……なにしろ……ふ、不意を、突かれたもので……あ、あの」  エイブがしどろもどろに答えます。  リッキー様の護衛たちは部屋の扉の前で控えていますのでここにはいません。  矛先がエイブ一人に向いてちょっと気の毒になりますね。  リッキー様が再び私にしがみつきました。 「申し訳ありません」  エイブが観念したのか九十度に腰を曲げて謝罪しました。  子供相手に追いつくこともできなかったのは、付き人たちにとっては失態だったのでしょう。 「まっ、こいつはちょこまかと動くから、護衛も大変かもしれないが。いざという時にはそんな言い訳は通用しないからな。そこは肝に銘じておけよ」 「はい。わかっております。申し訳ありませんでした」 「護衛もだ。兄上に報告しとくから、鍛錬に励むように言っておけよ。ユージーン兄上が喜んで鍛えてくれるだろう」  
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