31 王族の責任

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「……」  レイ様の繰り出す攻撃にがっくりとうなだれるエイブを見ていると気の毒にはなりますが、仕方のないことかもしれません。やんちゃなリッキー様のお相手は生半可な覚悟では難しいのでしょうね。    通常の訓練でも大変とか、言っていましたが、その三倍だったらどれほどのものなのでしょう? 騎士団の訓練を見たこともないので、なんともわかりようもないのですけれど。  訓練自体は必要なことでしょうから何も言えません。でも、レイ様。してやったりの体で、面白がっているようにも見えてしまいますよ。 「さて、リッキーも待っているだろう」  スッキリとした顔で笑顔を向けたレイ様に、エイブは心なしかホッとしたようにこの場を去っていきました。 「ローラはゆっくりと選ぶといいよ」 「はい」  リッキー様も気にはなりましたが、エイブが付いているので大丈夫だと思い、レイ様のお言葉に甘えることにしました。  レイ様に説明を受けながら一緒に書架を巡り、そして、いくつかの本を見繕って閲覧席へと向かいました。
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