31 王族の責任

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「はあ……。一冊じゃすまないのか」  顔を上げたレイ様が呆れたように大きくため息をつきました。 「本が好きな事はいいことだと思いますよ」 「それはわかっているし、本を読むのは否定はしないけど……」 「でしたら、いいのではないのですか?」 「まあ……」  どこかしら煮え切らない態度で、言葉を濁すレイ様。何が問題なのかしら? 「レイ様が読んでいらっしゃるのはどんな本なのですか?」  気分を変えるつもりで別の話題を振りました。 「これは、我が国の歴史の本。忘れないように時々読み返すんだ」 「歴史ですか?」  表紙には一と記されているので、まだ何冊もありそうです。 「国の成り立ちや貴族の関係。その時代に起きた様々な事件や出来事を知っておくことも大事だからね。そのほかにも勉強しなきゃいけないことはたくさんあるから、いろんなものに目を通しておくんだ」 「勉強家なのですね」  仕事もお忙しいでしょうに、勉強もしていらっしゃるんですね。一通りの知識習得ではよしとしない方なのでしょう。
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