31 王族の責任

30/31
前へ
/774ページ
次へ
「俺は王子として王宮に残ることが決まっているし、エドワード兄上が即位した後は王弟として補佐する役も決まっている。だから、知識を蓄えておかないとね」 「そうなのですね」  国王を補佐する役って大役だわ。  現国王陛下の退位の話は聞こえてこないので、王太子殿下が即位するまでは、まだ期間はあるのでしょうけれど。確かに付け焼刃の知識では通用しないこともあるでしょうし。勤勉なだけではなくて責任感も強い方なのね。  今までとは違ったレイ様を知ったようで新鮮な気持ちになりました。 「今度はこれ」  選び終えたのかリッキー様が私の膝の上に本をのせました。エイブは四、五冊の本を抱えています。  もしかして、あれを全部読んでほしいのかしら。  レイ様はリッキー様を見つめ、エイブの腕の中の本を見つめ、さらにさらに大きな溜息をつきました。   「申し訳ございません」  何かを察したらしいエイブが、レイ様に、そして私に頭を下げます。  ここはとことんまでリッキー様につきあうしかないのでしょう。本を読むのは好きですから、苦になることはありません。 「レイ様?」  調子に乗ってとか、子供の特権が、とか、ブツブツと独り言を呟いていますが、大丈夫かしら。
/774ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3382人が本棚に入れています
本棚に追加