32 ディアナside④

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32 ディアナside④

   学園が休みの今日。  わたしはブルーバーグ邸を訪れていた。  フローラに会いに来たわけではなく、約束の相手はシャロン様。  ちなみにフローラは王宮にいる。今頃はレイニーと仲良くやっている頃だと思うわ。  わたしが訪問することを彼女は知らない。内緒の密会だから。  日差しが降り注ぐサロンに案内されたわたしは、用意されたテーブルについてシャロン様の到着を待った。  開け放たれた窓からは乾いた清々しい風が通り抜けていく。心地よい風にうっとりとしてるとメイドとともにシャロン様が部屋へと入ってくる。  サイドテーブルに茶器などを並び終えたメイドは一礼すると退出していった。 「ディアナちゃん。いらっしゃい。待ってたわ」 「シャロン様、お久しぶりでございます。今日は時間を作っていただきありがとうございます」 「堅苦しい挨拶は抜きね。座ってちょうだい」  シャロン様は立ち上がって礼を取ろうとしたわたしを制すると椅子に座るように促した。    皿に盛ってあったドライフルーツをミニトングでティーカップに入れて、シャロン様が手ずから紅茶を注いでいる。 初めて見る光景に目を丸くしているうちに、運ばれてきた紅茶。
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