32 ディアナside④

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 ある程度、流行は把握していたつもりだけれど、これは初めてだった。  フルーツをドライにして混ぜ合わせたフルーティー紅茶は知っているけれど、ドライフルーツを丸々紅茶に入れたものは見たことなかったわ。 「これは、チェント男爵卿から教えてもらったのよ」 「チェント男爵……」 「ええ。チェント男爵が経営するチェスター貿易商会と取引をすることになったでしょ。そこの紹介よ。外国で流行っているお茶を教えてもらったのよ。作り方はいたって簡単で材料もすぐに揃えられるし、それに数種類のフルーツが一度に取れるし、高級なフルーツも取り入れれば、ちょっとした贅沢気分も味わえる優れた飲み物よね」  シャロン様は喜々とした表情で話を続ける。    「実はね、カフェのメニューに加えようと思ってるの。どうしたの? どこかおかしかったかしら?」  思わずふふっと笑いを漏らしたわたしに、首を傾げて問いかけるシャロン様に 「いいえ。随分と信頼していらっしゃるのだと思って」  事前に手紙で把握はしていたけれど、思っていたよりも好感触な様子に驚きつつも面白くなりそうな展開に、気持ちが高揚してしまうわ。  
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