32 ディアナside④

4/18

3362人が本棚に入れています
本棚に追加
/774ページ
「初めての取引だったから多少は警戒はしていたけれど、何度か会ううちに人となりを知って主人共々、信用するに足る人物だと判断したの。外国を回っているだけあって、見聞も広くて参考になることばかりだったわ」  なんとも楽しそうなこと。シャロン様ってば、よっぽど気に入ったのね。   「チェント男爵家には、わだかまりはないのですね」  再度聞く。これは大事なこと。  「ええ。ないわね。感謝しかないわ。テンネル家の嫡男と縁が切れたのですもの」  こうして会うようになったのも、フローラから聞くエドガーの所業の悪さをシャロン様に手紙で伝えたのがきっかけ。  シャロン様も最初は信じられないようだったけれど、独自で調べた証拠を見せると納得してくれた。それから、密かに手紙のやり取りや話し合いをして、どうすればよいか策を練るようになったのよね。  どう考えても幸せになる見込みのない結婚。  そんな不幸な立場にフローラを置きたくなかったから、なるべく穏便に解消できる方法を模索していた。フローラが不利な立場にならないように、瑕疵にならないように、慎重にね。
/774ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3362人が本棚に入れています
本棚に追加