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「あら、珍しいわね」
シャロン様もわたしと同じように窓の外を見てポツリと呟いた。
何度見ても外は明るいわ。
「こちらにお呼びしてもよろしいでしょうか?」
バートの言葉にシャロン様はこちらをチラッと見て頷いて返事を返すと、しばらくしてフローラが姿を現した。
「ただいま帰りました」
少し息を切らし、わたしたちのテーブルのそばまで来たフローラが挨拶をする。わたしが来ていると知って急いで駆けつけたのかもしれないわね。
「お帰りなさい」
シャロン様がにっこりと笑い挨拶を返す。
「あの……ディアナ。いらっしゃい。ごめんなさい。約束をしているのを忘れてしまったみたいで、出かけてしまって」
わたしに向き直ったフローラが申し訳ないとばかりに頭を下げた。
「謝る必要なんてないわよ。約束していないもの。外出したついでにちょっと寄ってみようかと思って、お邪魔しただけなのよ。ごめんなさいね。余計な気を使わせてしまったわね」
「そうだったのね。よかったわ。親友との約束も忘れるようになったのかと落ち込むところだったわ。本当によかった」
心底安心したのかフローラは大きく胸を撫で下ろす様子に、心の中でそっと微笑むわたし。
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