32 ディアナside④

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 いつもなら我が家の別邸で会うのだけれど、たまには場所を変えましょうとシャロン様のお誘いでこちらにしたのだけれど、まさか、こんなイレギュラーなことがあるとは……やっぱり、いつものところがいいわね。 「フローラ、良かったら座りなさいな。お茶を淹れるわ」  早速、シャロン様が立ち上がってお茶の準備をしている。バートがいつの間にか椅子を用意してくれていたようで、フローラもやっと腰を落ち着けた。 「お母様、ハーブティーをお願いします」 「ええ、わかったわ」  いくつかのハーブをブレンドしてお湯を注ぐシャロン様。  手指の添え方や目線に至るまで、神経の行き届いた流麗な動作に手際の良さ。ホント、美しいわ。  うちのメイドたちにレクチャーしてもらおうかしら。どこに出しても恥ずかしくない一流のメイドたちだけれど、高位貴族の洗練された優雅な所作って、なかなか出せるものではないのよね。  ハーブティーを運んできたシャロン様が、ふとフローラのドレスに目を止める。 「あら、このドレスは?」 「あっ!」  何気にまずいと思ったのかフローラが小さく声を上げて、両手で口を覆う。 フローラのドレスはシャロン様のドレス工房で作られているから、違いはすぐにわかるわよね。
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