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「そんな恐れ多い……ローズ様から贈られたものだったなんて……お返し……するわ」
震える声で途切れ途切れにやっと、言葉を紡ぐフローラ。
新品を見繕って二十着ぐらい届けさせたドレス。それらは西の宮の一部屋におさまっている。ドレスに合わせたアクセサリーも一緒に。
「フローラ。頂いた以上はもうわたしの物なの。それに頻繁に王宮に泊まるわけではないから、すべてのドレスを着る頃には流行遅れになってしまうわ。だから、フローラに着てもらえて助かっているのよ」
ローズ様には娘のようにかわいがってもらっているから、プレゼントもけっこう豪快なのよね。有難く享受しているけれど。
「でも、ローズ様。お気を悪くされないかしら?」
「それはないわ。喜んでくれると思うわよ。疑うのなら、今度ローズ様にドレスを見せに行きましょうか?」
「えっ? それは……」
ぎょっとした顔を見せたフローラ。
「冗談よ」
見せになんて行ったら『今度はわたくしがプレゼントするわ』って、ローズ様言いかねないもの。今はまだ自重して頂かないとね。
わたしの言葉に明るくなったけれど、刺激が強すぎたのかしら?
フローラって、自己肯定感が低いから物事によってはしり込みしちゃうところがあるのよね。もう少し、自信を持ってほしいところなのだけど。
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