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先を急ぐように立ち去って行ったフローラの後ろ姿を見つめていると、パタンとドアが静かに閉まる音にハッと我に帰る。
「休憩しなさいって言ったのにねぇ」
シャロン様の呆れるような声が聞こえた。
「フローラらしいと言えば、そうなんでしょうけれど」
「そうね」
睡眠より研究することが大好きな人ですものね。だからこそ、色々な功績を残しているわけだけれども、時にはゆっくりと休んでほしい。親友としては心配な所でもあるのよね。
「それにしても、シャロン様。フローラって最近とてもきれいになったと思いません?」
「あら。ディアナちゃんもそう思う?」
シャロン様は片眉を上げて目をキラッとさせて問いかける。
「ええ。思います。明るくなって笑顔も増えましたし。元々、清楚な美しさがあったでしょう? でも最近のフローラは、例えば、朝露を含んだ純白の野バラが朝日に照らされて輝くような感じかしら? 瑞々しい美しさが際立つようになったみたい」
「まあ、すごい誉め言葉。我が娘の事ながら嬉しいわ。実は私もね、似たようなことを思っていたのよ。でも、もしかしたら親の欲目かしらって思っていたけれど、そうではなかったみたいね。よかったわ」
シャロン様は満足げにコロコロと笑う。
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