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才女と言われる侯爵令嬢。彼女の才能がどれだけの富を生み出しているかを理解すれば、ないがしろにされることなどないことくらいはわかるわ。
婚約者がいないとなれば、年頃の子息を持つ貴族家にとってフローラは垂涎の的でしょうね。
わたしも日頃懇意にしている方々を紹介したけれど、彼女に見惚れていた夫人ばかりだったもの。性格的にも好感を持たれたことはいうまでもないわ。
社交場という表舞台に出ると、こういう副産物もあるのね。
さて、どうしましょうか。
「ただね。レイニー殿下のことがあるから、ちょっと、頭を悩ませているところよ」
シャロン様がちょっと困ったように笑う。
そうよねえ。
正式ではないにしろ、王家から縁談を勧められているのも同然の上、何の進展もないから対処のしようもないですものね。
「でも、結局のところ、フローラの気持ちが大事ですからね。あの娘の気持ちを尊重するわ。ごめんなさいね、ディアナちゃんに愚痴ってしまったわ」
「いいえ。話をしてもらってよかったですわ。フローラの気持ちが大事。これにはわたしも賛成しますわ。幸せになってほしいですもの」
さて、さて、うかうかしてられませんわね。すぐにでもハッパをかけに行きましょうか。
そんなことを考えながら、残っていた紅茶を飲み干した。
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