33 レイニーside②

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 俺の部屋の内装にケチをつけに来たわけではないだろうし、先触もなしに来るってことは何か重要な要件があるからとは思うのだが……一向に本題に入る気配がない。  「蓮の花。今年もきれいに咲いたのね。いいわよね。あのまっすぐに茎を伸ばして凛として咲く真っ白な花。とてもきれいだわ。いつまでも大事にしたいものね」 「?」  またここで花の話……で、いったい何が言いたいんだ。 「用事があるから来たんだろう? 俺も忙しいんだ。サッサと要件を済ませて帰ってほしいんだが」 「あら、まあ。余裕のないことね。幼馴染が遊びに来たというのに素っ気ないこと。もう少し、歓迎の気持ちくらい表してほしいわ」  大きく目を見開いて心外とばかりに、大仰に溜息をつくディアナ。  先触れもなく勝手に来た挙句に歓迎の意だと。溜息をつきたいのは俺の方だ。ローラに手紙を書いてゆったりと落ち着きたかったんだが。 「ああ、嬉しいよ。久しぶりに幼馴染殿に会えて……」   「心が籠ってないわね。それに笑顔が足りないわ。せっかくきれいな顔をしているのに、もったいないわよ」 「それは、どうも。忠告ありがとう」  今、この状況で笑顔になれというのは無理だ。顔が引きつるじゃないか。 「でも……レイニーはそのくらいの方がいいのかもね。あまり愛想がよすぎると大変なことになりかねないかもだし。とびっきりの笑顔は大好きな人に取っておきなさいな」  大好きな人……その言葉にローラの顔が浮かんでドキッとした。  
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