33 レイニーside②

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「今、誰かの顔が思い浮かんだでしょう?」 「……」   悪戯っ子のように口の端を上げて微笑むディアナを見据える。  俺の気持ちなどはとっくにお見通しなのだろう。  それに対して反論する気はないが、ローラとの橋渡しをしているのは王太子妃である義姉上だし、その件では母上も関わっているのだろうことは容易に想像できる。もちろん、ディアナも承知の上。ローラの友人でもあるしな。  そう考えてみると面白くないな。なんか彼女達の手のひらの上で転がされているみたいじゃないか。  けれど、そのおかげでローラに会える機会があるのも事実。色々な状況を考えると複雑な心境になる。 「そんな仏頂面もよくないわよ」  額に手をのせて考え込んでいるとディアナの注意が飛ぶ。眉間寄ったしわを指でならすように撫でながら、彼女を睨むと 「それはそれで、S味があって魅力的かも……」  間髪入れずにこのセリフか。いったいどんな顔をしろというんだ。茶化すような口ぶりながら、あくまでも淑女然とした顔でにっこりと微笑むディアナにますます眉間にしわが寄る。   「結局、何をしに来たんだ?」  今もって要件を言わないってことは、暇つぶしに来たのか、からかいに来たのか……くだらない理由しか思い浮かばない。 「そうねえ。一つ、伝えたいことがあって来たのよ」  伝えたいこと?  訝し気に見る俺と静まり返った雰囲気を楽しむようにディアナは紅茶を口にした。 「で、何なんだ? 俺だって忙しいんだ」  もったいぶった態度に若干、切れ気味に言い放つ。
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