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「王族たる者、感情任せな態度はどうかと思うわよ。いついかなる時も冷静に。いつも教えられていることではなくて? まだまだ未熟ねえ。修業が足りないわ」
ディアナは余裕綽々といった体で、広げた扇子をエレガントな仕草で仰ぐ。正論を突き付けられて何も言い返すことができず、悔しさでグッと言葉が詰まる。
「そういう素直なところがレイニーのいいところよ。そうね。今日は幼馴染だからということにしておいてあげるわ」
ということにしてあげるって、どこ目線なんだ。何目線なんだ。
彼女の真意がどこにあるのか、どう受け取っていいか分からず、頭を抱えたくなった。煙に巻くような物言いにいいように遊ばれているようで落ち着かない。
「レイニー」
ディアナの呼びかける声に俺は顔を上げる。
「花はね、愛でるばかりではだめなのよ。それで満足していては、何者かが可憐な花を手折る者が出てくるかもしれないわ。それでは遅いのよ。よく考えなさい」
諭す様な声音につられるようにディアナを凝視した。
ここでも花か? 愛でるばかりではダメとは? 何者かが手折る?
それは……その例えは……
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