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「殿下、私たちも一休みしてもよいでしょうか?」
そう聞いてきたのはセバス。
テーブルにはクロスが敷かれて、皿やナプキン、カトラリー類もセッティング済み。あとは席に着くだけだ。すでに準備は終わっている。
休憩する気満々の側近たちにノーと言えるわけはない。突っ立たまま言葉を失っていた俺のことなどお構いなし。
「殿下もどうぞお座りください」
席に促されて椅子に座った。
ボーとしている俺はセバス達から見れば間抜けに見えるかもしれない。頭の中はいろんな考えが浮かんでは消え、ぐちゃぐちゃに乱れている。
結果、思考を放棄した。
エリザが淹れる香りのよい紅茶の匂いが漂ってくる。
大皿に並べられたお菓子が目の前に置かれた。
クッキーやマドレーヌ、フィナンシェ、タルトと数種類。これを全部ローラが焼いたのだろうか。
さすがにそれは無理だろうが、あの時のように厨房で楽しそうに料理をするローラの姿が思い浮かんだ。
「どれも美味しそうですねえ」
取り分けている侍女の声がした。
他の者たちは大人しくテーブルに着いている。
さながら、待てをさせられて尻尾を振っている犬状態。護衛騎士達もこういう時にはおそろしく従順である。
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