33 レイニーside②

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 身を固める……つまりは結婚しろと。それは今ここで話すことなのか?  俺の返答を固唾を飲んで見守る体で集中したみんなの視線が痛いんだが。 「いや、それは……」 「我々は今か今かと心を躍らせて待っていたのですが、一向に進展しない様子。このままでは、殿下は一生独身ではないかと心を痛めているのです」  胸に手を置いて悲しいとばかりに神妙な顔つきで話し出すセバス。そばにいるクリスは同意するかのように下を向いて静かに耳を傾けている。  護衛騎士達はうんうんと大きく頷き、侍女達は何かを期待するような明るい表情で俺を見ていた。  急に一体何なんだ⁈ 「一生とは、ちょっと大袈裟すぎないか? 俺だって結婚する気はある」  少し胸を張って断言する。俺だって一生添い遂げられる伴侶は欲しい。 「ほう。そうでしたか。それは安心いたしました」  剣のある妙に冷静な声にちょっと苛立つ。 「でしたら、さっそく行動に移してもらいたいものです」 「はっ? いきなり何を言い出すんだ」 「いきなりではございません。年齢を考えるのであれば婚約者がいらっしゃっても何の不思議ではありませんし、殿下の心の内にはすでにどなたかがいらっしゃるのではありませんか?」  思い浮かんだ顔にドキッと心臓が跳ねる。
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