33 レイニーside②

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「それは……」 「ご令嬢にも適齢期というものがございますし、いつまでもよい友人のままというわけにもいかないと思いますが。お気持ちがなければそれでもよいのでしょうが、独身同士の男女。ましてやご令嬢も高位貴族であれば色々と縁談もございましょう」  セバスって、こんなにしゃべるヤツだったっけ? 必要なことは話すが、それ以外は寡黙な男だと思っていたのだが…… 「殿下も同じでございます。ユージーン殿下の婚姻も決まり、あとはレイニー殿下お一人でございます。どうか、心をお決めになって先に進んでいただきたいのです。それこそ、横から大切な方を攫われたのではたまったものではありません」  いつになく饒舌に熱意を込めて話すセバスに圧倒されて、口に運んでいたお菓子をぽろりと落としてしまった。  視界に入る側近達も皆大きく頷いている。 「殿下、聞いていらっしゃるのですか?」  いつまでも返事をしなかったのが悪いのか、焦れたような声とともにバンと勢いよくテーブルに手を突き立ち上がったセバス。  一瞬で室内が静まり返る。  セバスに注目している者、こちらの反応を窺っている者。きょろきょろと交互に見る者。様々な視線の中で俺は何の返事をしようもなく沈黙した。 「まあまあ。セバス侍従長、そんなにまくし立てては、殿下も返事がしづらいでしょう」  少々、間延びした声で間に入ってきたのは、護衛騎士リーダーのダン。
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