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これは助け船を出されたのか、庇ってくれるのか、何かを期待してもいいものなのか……判断に迷う。
「それは、そうですな。つい、感情的になってしまって申し訳ない」
「まあ、侍従長の気持ちもわかります。それで私からも気づいたことを一言」
一息置いてダンが俺へと向き直った。
「我々もここしばらくお二人を見守っておりましたが、殿下がヘタレだということがわかりました。まったくもって進展がなさすぎます。ここまでもたもたしているとは思いませんでした。気が長いにもほどがあります」
ヘタレだと? ちょっと、待て。俺は何を聞かされているんだ?
セバスより熱がこもっていないか?
「わたくしたちからもよろしいでしょうか?」
次に手を上げて発言を求めるのは侍女長のエルザ。
今、何が繰り広げられているんだろう。
セバスが頷く。
「わたくしどもも皆さんと同じです。殿下のフローラ様に対する行動は微笑ましく思い見守っていたのですが、それにも限度があると最近では感じておりました。花の命は短いのです。旬を逃して後悔するのはほかならぬ殿下ではありませんか?」
「……」
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