33 レイニーside②

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 俺をまっすぐに見つめたエルザは目が合うと言いすぎたと思ったのか、少々申し訳なさそうにお辞儀をした。  しかし、これは直球過ぎるのではないか?  言葉が出てこない。何を言えばいいんだ。  セバスもダンも名前を伏せていたが、エルザは隠さなかった。 「そうですな。ダンやエルザのいう通り。王族・貴族の結婚は様々な理由によって結ばれますゆえ、本人の思い通りにいくとは限りません。だからこそ考えて頂きたいのです。フローラ様は侯爵令嬢であり、国の至宝と呼ばれているお方。殿下の妃としても相応しいご令嬢かと思います。殿下、吉報を楽しみに待っておりますので、どうかよろしくお願いいたします」  セバスが深々と頭を下げると他の者達も立ち上がって胸に手を当て臣下の礼を取った。  真剣なまなざしに期待の入り混じった顔を一斉に向けられて、無言の圧力を感じる。  結婚相手は決めている。ローラしかいない。ただタイミングを計っているだけだ。それがなかなか難しいのだが。  だから、こういうしかないだろう。
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