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「わかった」
俺の返事に安堵の表情を浮かべた面々は再びテーブルに着くとお茶のお代わりを始めた。
しかし、こんなに急にけしかけられると思いもしなかった。
今まで結婚のけの字も出ていなかったのに。結婚に関してはみんなもっと寛容かと思っていた。
これはやっぱりディアナのせいだろうな。散々思わせぶりなことを言っていたから。
花を横から手折る者……か。
もしかして、本当にそんな者がいるのか。
ローラ。
春の日差しのように温かくて居心地のよい関係。
急がずともゆっくりと関係を深めていって、それからでもよいかとも思っていた。
確かにローラも貴族令嬢。
結婚は家同士の結びつきが大切だから本人の気持ちなど関係ない。いつ、誰と婚約が成立してもおかしくない。
俺達は何の約束もしていない。
結婚か……
プロポーズして、もし断られたら……
そんなはずはないと思いたいが、もしそうなったら……
よいお友達のままでいましょう、なんて言われたら……
絶対、立ち直れないだろうな。
はあ……
俺の心の葛藤などお構いなしに部下達の笑い声が部屋の中に響いていた。
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