34 波乱の予兆

3/36

3359人が本棚に入れています
本棚に追加
/774ページ
「それにしても、さすが王都一のカフェですわね。ケーキの種類も飲み物もたくさん。どれも食べてみたくて選ぶのが大変ですわ」  メニュー表のページをめくりながらディアナがはしゃいでいます。いつにもなくテンションも高いわ。隣に座った私は彼女に倣うようにメニュー表を手に取りました。  確かに種類が豊富だわ。これだけのレパートリーを常に準備しているなんてすごい。職人さん達も優秀なのね。サンドイッチやキッシュなど軽食もあるのね。 「フローラ、決まったかしら? どれにする?」  不意にディアナの声。 「あ、あの……まだ」     メニューを一つ一つ見すぎて、選ぶのを忘れていたわ。 「いっぱいあるものねえ。わたしは諦めたわ。ここはビビアン様に選んでいただいた方がよさそう」 「ええ、そうね」  このままでは食べることより、カフェ経営の方に意識がいってしまうわ。ここはディアナの言う通りビビアン様に任せた方が安心ね。 「そうよね。初めてだと迷いますわよね。わかりましたわ。わたくしが選んで差し上げます」  ドンと任せないとばかりにビビアン様が胸を張ります。  店員を呼び寄せると注文を始めました。  
/774ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3359人が本棚に入れています
本棚に追加