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「どうかされました? もしかして、こちらの方がよかったとか?」
ビビアン様のケーキに釘付けになっていたのを勘違いされたのでしょう。物欲しそうに見えたのかもしれません。
「いえ。そういうわけではないのです。ちょっと、珍しいケーキだなと思って。すみません」
私は慌てて言い訳になったかわからない言い訳をして謝りました。
「よろしいのよ。グリーンの色合いは珍しいですものね。こちらは新商品で売り出したばかりだそうですわ」
「そうなのですね」
レイ様がお好きだと聞いたから、また厨房を使わせて頂けたなら、作ってあげたいと思って材料を取り寄せていろいろなお菓子を試作していました。
先日ディアナが遊びに来た時に、研究を切り上げてお土産にと思って作った中にピスタチオのお菓子もありました。いつか食べてもらえる機会があるといいのだけれど、レイ様の喜ぶ顔が見たいわ。
ビビアン様の語りを聞きながら、そんな風にレイ様を思い出していました。
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